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英単語の覚え方は人それぞれ

私が使っていた英単語帳


私が高校1・2年生の時にどの英単語帳を使っていたか思い出そうとしましたが、思い出せませんでした。

しかし、高校3年生の時には『ターゲット1900』を使っていたことは記憶にあります。

周りの友人たちが『ターゲット』がいい!と言っていたからです。

現在に至るまで『ターゲット』は受験英単語帳の定番中の定番です。



『ターゲット』で覚えられるのか


周囲の評判がいいからという理由で『ターゲット』で単語を覚えようとしましたが、一向に頭に残らない。


当時の受験生の間には、受験テクニックに関する様々な都市伝説がありました。

その一つが「睡眠学習」です。

文字通り、寝ている間に学習するという、極めて安易なものです。


ところが、『ターゲット』で「覚えた」と言えるような単語が皆無な状態だったため、「睡眠学習」にすがることになりました。

その当時は『ターゲット』別売りの音声CDがあり、CDを誰かに借りました。

その音声CDには、英単語と日本語が吹き込まれています。

夜、寝る直前にそのCDをかけ、そのまま寝ると、無意識のうちに英単語の音声が耳から入って、じわじわと脳に染み込んで記憶に残るという仕組みのようです。


当時の私は普段寝つきが悪い方で、ベッドに入ってからも1~2時間くらい眠れないのが当たり前の生活でした。

ところが『ターゲット』の音声CDを流すようになってからは、瞬時に入眠することができるようになりました。

そのCDの最初のトラックで流れてくる音声は、

“retain” - 「保持する」 - “retain”

でした。

これは今でも覚えています。

しかし、その次に流れてくるはずの単語は全く記憶にありません。

もう寝ているからです。


1週間くらい辛抱強く続けましたが、寝ている間に聞いているであろう英単語を昼間に見ても、全く記憶にございません。

「睡眠学習」がデマなのか、私の脳がおかしいのかは不明ですが、いずれにしても、寝ている間に単語を覚えることはできませんでした。



猟奇的な方法がハマった


外国語学部を志望しているのに英単語を覚えられないという致命的な弱点を持つ私は、次なる記憶法を探しました。

何かの本で読んだのか、誰かに勧められたのかの記憶もありませんが、私の脳みそにピッタリはまる学習法に出会いました。

それは、


英単語を白い紙に何回も書きながら、単語の読み方を口に出す


というものです。

英単語を書き連ねるだけでは、日本語の意味がわからなくなると思い、時折日本語の意味も口に出しながら紙に書きました。


紙に書くといっても、丁寧に書きません。

ほとんど殴り書きです。

きれいな白紙ではなく、何かの裏紙です。

『ターゲット』の英単語と日本語を書き殴ります。

何も見ずにスペルを間違えずに書けるまで、英単語を見て日本語の意味が頭に浮かぶようになるまで、ひたすら書き続けます。

ただ書き殴るだけの作業なので、裏紙は1枚あれば充分でした。

既に書いた文字の上に次の文字を書いていきます。

そのうち、白紙だったはずが一面真っ黒の紙になります。

白いところを探しても見当たらないくらいに、文字の上に重ねて書き続けていました。

シャーペンではなく、ボールペンを使っていました。


その頃は高校生が入店することができないような怪しげな飲食店の広告が入ったティッシュを配る人が駅前に何人もいました。

ある時、ティッシュではなく、怪しげなる飲食店の店舗名が書かれたボールペンを配っている人がいました。

配る相手が私のような男子高校生であっても、彼らにとってはボールペンを配ってしまえばいいわけです。

私のほうは、タダでボールペンをもらえるから、登下校のたびにわざわざボールペンのお兄さんの前を通過します。

そのボールペンを使って、単語の書き殴り練習をしていました。


そのうち、やはり私の場合は『ターゲット』の単語を書き殴っても記憶に残らないことがわかりました。

そこで、読解問題で出てきた知らない単語を辞書で調べて、それを書き殴るとスルスル頭に入ることが判明しました。

ストーリーの記憶があるうちに、単語をブツブツ言いながらひたすら書く。

そのうち、頭だけではなく、手がスペルを覚えてくれるようになりました。

あれ?「仮説」の英単語のスペルは何だったかな?と思っても、ペンを手にすると

hypothesis

と手が勝手に書いてくれます。本当です。


さて、怪しげなるボールペンは無料で配布されていただけあって、しょちゅうインク漏れが発生しました。

しかし、安物だからこそ書き殴り練習にピッタリだと勝手に思い込み、何枚もの白紙をボールペンで黒紙にしていきました。


結局、高校時代に単語帳で覚えたと思われる英単語は“retain”だけでした。



英単語の指導法


後に私は学校の教員や塾・予備校講師をしましたが、いつの時代も生徒は英単語を覚えるのに苦労し、「どうすれば覚えられますか?」と聞かれます。

私は「いろいろ試しましょう」と答えるようになりました。


私自身は、単語帳を眺めていても、記憶に残りませんでした。

睡眠学習もダメでした。

書き殴りは効き目がありました。

同じように書き殴り法を生徒に勧めても、うまくいかない人は多いです。

殴り書きをするにも根気が必要だからかもしれません。


やがて、生徒を観察していると、単語帳を眺めるだけで覚えられる人、音声を聞くと覚えられる人、自分で口に出すと覚えられる人、手で書くと覚えられる人がいることがわかりました。

また、短冊型メモ帳の表に英単語、裏に日本語を書き、隙間時間に眺めると覚える人もいました。


つまり、脳は人それぞれなのです。

自分に合った単語の覚え方を探るために、早めに様々な勉強法を試してみることをお勧めします。


とある生徒が私の書き殴り法を真似して、白紙が真っ黒になるまでボールペンで書いていたところ、それを知らない近くにいた友人が「辛いことがあるなら相談してね」と言ってくれたと報告してくれました。


「どの単語帳を使うか」よりも、「どの方法で単語を脳に記憶させるか」の方が遥かに重要なのです。

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