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『英文法解説』

9 時間前
読了時間: 5分

1953年に初版が出て以来、「英語科教師の机上には必ず備わっている」とも言われる江川 泰一郎氏の名著。


「この本に書いてあることを理解したら、学校の先生を追い越せるぞ!」と私が高3の時に通っていた塾の先生から聞き、即購入しました。

受験用の英文法参考書としては最高峰レベルで、なかなか苦労しました。


圧倒的な網羅性と信頼性

日常的な文法規則から、他の参考書には載っていないような例外的な語法、クジラの構文といった伝統的な受験英語の難問まで、英語の「なぜ」に答える豊富な情報量が詰まっています。


「言葉の規則」を論理的に解説

単なる暗記の羅列ではなく、「なぜその表現になるのか」「ネイティブはどのように使い分けているのか」を論理的かつ明快に説明しています。


格調高く、実践的な例文

掲載されている例文は、英米の著名な文学作品や一流紙から引用されたものが多く、品格のある生の英語に触れることができます。


本書の「はしがき」には、以下の一節があります。


「英文法の参考書であると共に、英文解釈・英作文・英文法を三位一体とした総合的参考書」

というわけで、読むためにも、書くためにも使えます。


また、「文法はこうあるべき」という規範文法ではなく、「実際に使われている用例」から理解していく記述文法の説明をしてくれます。



副詞(句)の補語扱いについて、以下の解説があります。


  1. The concert was a success.(コンサートは成功でした)〈名詞〉
  2. The concert was very good.(とてもよかった)〈形容詞〉
  3. The concert was in the open air.(野外で行われました)〈副詞句〉
  4. The concert was yesterday.(きのうでした)〈副詞〉
Closeはこの4つの文をすべてS+V+Cとした上で、「wasに続く4種類の語句は文の義務な(obligatory)要素で、The concert was. だけでは文は成立しない」と言い、「このような文の構成を覚えることが真の英文法の学習であって、文法な分析は(やるとしても)後回しでよい」という趣旨の言葉を続けている。学習文法の立場から、私も全面に賛成したい。

『英文法解説』が他の多くの受験参考書と一線を画し、時代を超えてハイレベル層に支持されている最大の理由は、単に「これがルールだから覚えなさい」と命令する「規範文法(Prescriptive Grammar)」の枠に留まらず、実際の言葉の使われ方を客観的に観察・分析する「記述文法(Descriptive Grammar)」の視点が深く組み込まれているからです。


「例外」や「慣用表現」を排除しない

規範文法は「正しいか・間違っているか」の2択でルールを決めがちです。

しかし、実際の生きた英語にはルールに収まらない表現がたくさんあります。

江川氏は、そうした例外を「入試に出ないから無視」とするのではなく、「実際の英文(文学作品やニュース)では、このように使われている」と事実をありのままに記述(紹介)してくれます。


「なぜそうなるのか」を説明する

単なる規則の羅列ではなく、「ネイティブスピーカーがなぜその表現を選ぶのか」という心理や、歴史的な変遷にまで踏み込んで解説しています。

言葉が実際に使われている文脈を観察し、「こういう状況では、この表現が自然である」という言語事実をロジカルに解き明かすアプローチは、まさに言語学における「記述文法」そのものです。


格調高い引用(エビデンス)の存在

本書の例文の多くは、江川氏が自ら英米の文学や一流紙から集めた「生の英語(コーパスの先駆け)」です。

「こういうルールがあるから、この例文を作りました」という人工的な英文(規範文法にありがち)ではなく、「実際に使われているこの英文を分析すると、こういう規則性(文法)が見えてくる」というボトムアップの姿勢(記述文法)で作られています。

だからこそ、例文に圧倒的な説得力と品格があるのです。


受験生がこの「記述文法」の視点を持つメリット

難関大の入試(特に下線部訳や自由英作文、複雑な超長文)では、規範文法で作られた綺麗なルールだけでは太刀打ちできない「生の英語」がそのまま出題されます。

『英文法解説』を通じて「記述文法」の視点、つまり「言葉の本質的な使われ方を観察する目」を養っておくと、初見の難解な英文に出会ったときにも、「ルール違反だ」とパニックにならず、「なるほど、ここではこういうニュアンスを伝えるためにこの形になっているんだな」と論理的に推論できるようになります。



📙本書の使用法


難関大学を目指す高校生であっても、外国語学部を狙う文法マニアでもない限り、『英文法解説』を1ページ目から順番に読み進める(通読する)のはおすすめしません。 

分量と情報の密度が圧倒的なため、途中で挫折するか、時間が足りなくなります。


難関大志望の高校生が本書を最大効率で使いこなす方法


1. 最初の1冊としては使わず、「2冊目の辞書」として使う

まず学校で採用されている参考書や講義本で、文法の全体像(基礎~標準)を1通りマスターしてください。

『英文法解説』は、その基礎を固めた上で「どうしても腑に落ちない疑問が出てきたとき」に開く「辞書(参考書)」として手元に常駐させます。


具体的な使い方(辞書引き)

過去問や難関大向けの英文解釈を解いていて、「なぜここでこの助動詞が使われているのか?」「このthatの識別がどうしても分からない」となった際に、本書の索引(インデックス)から該当のページを探して熟読します。他の参考書には載っていない「深い理由」がピンポイントで解決します。


2. 「英作文(和文英訳)」の表現チェックに使う

難関大の入試で最も差がつくのが英作文です。『英文法解説』は「語法(単語の細かな使い分けや例外規則)」の解説が緻密です。


具体的な使い方(英作文対策)

自分で書いた英作文の解答について、「このような英文を書いたけれど、文法的に本当に合っているか?」「どういうニュアンスの違いがあるか」を調べます。本書に載っている正確な語法を頭に入れることで、減点されない、格調高い英文が書けるようになります。



⚠️ 取り組む際の注意点

深入りしすぎない

本書には、現代の入試ではほとんど出題されないような文学的・古風な表現や、極めてマニアックな例外も記載されています。

それらをすべて覚えようとせず、「今の自分に必要な知識か」を常に意識し、塾の先生や学校の先生に確認しながら進めるのが安全です。


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