top of page

単語の「ストーリー」(11) charge

4月2日
読了時間: 3分

 語源はラテン語の carricare(荷車に積む)。「車(car)」の語源と同じ carrus(荷車)から来ています。


 「空っぽの場所に、重いものをギュウギュウに詰め込む」というエネルギーの凝縮が全ての意味の出発点です。


1. 金銭的な「料金・請求」

 お客さんの支払いの「ツケ」として、あるいは帳簿という荷車に「代金」という重みを積み込むイメージです。


Admission charge「入場料」

Free of charge「無料で = 積み込まれた重みがない状態」

Charge it to my card

 「カードで支払います = カードの利用枠に「支払い」を積み込む」


2. 心理的な「責任・担当・非難」

 特定の人の肩に「任務」や「罪」という重い荷物をドサッと積み込むことです。


In charge of ~(~の担当で = ~という責任の荷物を背負っている状態)

Be charged with murder(殺人で告訴される = 罪の重みを背負わされる)


 「責任者」とは、ただ偉い人ではなく「一番重い荷物を背負っている人」のことだと考えると、なんとなく心に響くものがあるのではないでしょうか。


3. 物理的な「充電・充填」

 空っぽのバッテリーや容器に、電気や火薬というエネルギーをギュウギュウに詰め込むことです。


Charge a battery(バッテリーを充電する)

Charge a gun(銃に弾を込める)


4. 爆発的なエネルギーの「突撃・攻撃」

 詰め込まれたエネルギーを一気に解放して、相手に向かって突き進む様子です。


Charge at the enemy(敵に向かって突撃する)

A bull's charge(雄牛の突進)


 荷車に荷物を積み込みすぎて、坂道を一気に駆け下りていくような、コントロール不能なほどの「勢い」がこの意味の背景にあります。


【ラテン語 carricare の家系図】「荷車(carrus)」から生まれた単語

 すべての中心にあるのは、「ガラガラと音を立てて進む重い荷車」のイメージです。


1. car「車」:そのものズバリ

 最もシンプルに、荷車そのものを指す言葉として残りました。

 昔は「馬車」でしたが、エンジンが載っても「走る箱(車)」という本質は変わりませんでした。


2. carry「運ぶ」:荷車で動かす

 荷車に荷物を載せて「移動させる」という動作に注目した言葉です。

 もともとは「車で運ぶ」限定でしたが、やがて手で持とうが肩に担ごうが、何かを移動させること全般を指すようになりました。


Carry a bag: 「カバンを(荷車のように)運ぶ」


3. career「キャリア・経歴」:荷車の通る道

 語源は「車道(carriage road)」や「競馬のトラック」です。荷車が通り過ぎた後に残る「車輪の跡・わだち」をイメージしてください。


 自分が人生という荷車を引いて走ってきた「道」そのものが、あなたの career です。「職業」という点だけでなく、「自分が歩んできた軌跡」だと考えると、今後の進路を考えるうえで深みが出ます。


4. cargo「貨物」:積み込まれた荷物

 charge が「積むという動作」なら、cargo は「積み込まれたモノ」を指します。

 スペイン語を経由して、「車に載せられた荷物」として英語に入ってきました。現在は船や飛行機の大きな荷物を指すことが多いですが、ルーツはやはり「荷車」です。


5. carpenter「大工」:荷車を作る人

 「大工さんがなぜ車?」と思うかもしれませんが、これこそ語源の面白いところです。

 昔、最も高度な技術を要する木工作業の一つが「頑丈な荷車(carrus)を作ること」でした。そこから「車作り職人」を指す言葉ができ、やがて木造建築全般を担う「大工」へと意味が広がりました。


6. caricature「風刺画・カリカチュア」

 意外ですが、これも charge の兄弟です。

 特徴を「これでもか!」と盛り込んだ絵のことです。キャンバスの中に、その人の鼻や口の特徴を「過剰に積み込んだ(overloaded)」ことからこの名がつきました。


単語

カテゴリー

荷車(carrus)との関係

Car

本体

荷車そのもの

Carry

動作

荷車で運ぶ → 運ぶ

Career

軌跡

荷車が通る道 → 経歴

Cargo

中身

荷車に積んだもの → 貨物

Carpenter

製作者

荷車を作る人 → 大工

Charge

負荷

荷車にドサッと載せる → 請求・責任


最新記事

すべて表示
『英文法解説』

1953年に初版が出て以来、「英語科教師の机上には必ず備わっている」とも言われる江川 泰一郎氏の名著。 「この本に書いてあることを理解したら、学校の先生を追い越せるぞ!」と私が高3の時に通っていた塾の先生から聞き、即購入しました。 受験用の英文法参考書としては最高峰レベルで、なかなか苦労しました。 圧倒的な網羅性と信頼性 日常的な文法規則から、他の参考書には載っていないような例外的な語法、クジラの

 
 
 
『英文解釈教室』

1977年の発売以来、今でも書店で見かけます。それだけ本質的な内容の不朽の名著。 言語学的な専門用語を使わずに、高校生がわかるように説明し、さらにハイレベルに押し上げてくれるのは、実は驚異的なことです。 受験参考書の最初の方にある「はしがき」を真面目に読んでいる人はいるでしょうか。 『英文解釈教室』の「はしがき」は名文です。 本書を手に取り、「はしがき」を3回くらい読み、これからの学習について思案

 
 
 

コメント


bottom of page